■評価:★★★★☆4
「ドーピング」

【映画】イカロスのレビュー、批評、評価
2017年の映画を対象とする第90回アカデミー賞で、アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞を受賞。
ドーピングを題材としたドキュメンタリー映画となる。
アマチュアの自転車選手のブライアン・フォーゲルは、パフォーマンスをあげる薬物を使用することを決める。アンチ・ドーピング検査をパスできるかを試みようと考えたフォーゲルは、ロシア反ドーピング機関所長のグリゴリー・ロドチェンコフを紹介してもらう。ロドチェンコフの手を借り、フォーゲルはホルモン注入と検査時に利用する尿サンプルを使ったシステムを開始した。
クレイジーすぎるドキュメンタリーで無茶苦茶、面白い。
アマチュアではあるが、自転車競技で上位を収めるため、監督自らが実験台となってドーピングをする話。
しかも、そのドーピング・プログラムの手伝いをしてくれるのだが、ロシアの反ドーピング機関所長のグリゴリー・ロドチェンコフ。
グリゴリーはオリンピックにも携わっている人物。
グリゴリーの口からロシア選手のドーピング事情が明かされるのだから面白い。
ロシアのドーピング事情はまったく疎かっため、驚きの連続である。
グリゴリーはカメラの前で、あまりに平然と話すものだから、「本当にドキュメンタリーなのか?」と違和感を覚えるレベル。
ここで疑問が浮かぶのだ。
「なぜ、グリゴリーはドーピングの様子を撮影するフォーゲルに手助けをするのか」
撮影がロシア政府にバレたらとてもやっかいなことになるのは考えるまでもない。
社会主義国であるロシア。
バレたら間違いなく、グレゴリーは命を奪われる。
そして中盤、物語をひっくり返すとんでもない展開を迎える。
この展開に関して、知っている人はいるだろう。
スポーツ観戦にまったく興味のない私ですら、ニュースで観て知っていたレベル。
ここからが本作の本題。
この出来事をターニングポイントとして、本作は前半とは異なる方向へ舵を切る。
異なる方向というのはどういう意味か?
つまり元々、本作は監督が軽いノリでドーピングテストを乗り越えられるかを撮影する程度だったはず。
それが、まさかの出来事によって、撮影の主旨を大きく変えられてしまう。
この流れが、本作を神がかったドキュメンタリーとする最大の要因である。
ついつい「自分がスポーツ選手だったら、ドーピングに手を染めるのか」を自問自答した。
恐らく、周りが誰も使っていなかったら、私はドーピングの使用を拒否するだろう。
逆に、みんなが使っていたら、私もドーピングに手を染めていると思う。
成果を出すために手段を選ばないのは大事。
もちろん犯罪は駄目だし、スポーツの競技においてドーピングはルール違反なので駄目。
でも、プライドをかざして自分だけ使わず、歯が立たない結果に悔しい思いをするのなら、みんなと同じ土台に立って戦う側を選択する。
ドキュメンタリーの傑作はコチラ。
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イカロスの作品情報
■監督:ブライアン・フォーゲル
■出演者:ブライアン・フォーゲル グリゴリー・ロドチェンコフ
■Wikipedia:イカロス(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):92%
AUDIENCE SCORE(観客):94%
イカロスを見れる配信サイト
U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-
TSUTAYA TV:-
Netflix:○(見放題)
※2021年2月現在