映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『風立ちぬ』ネタバレなしの感想。飛行機に憧れを抱く男を描く

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■評価:★★★☆☆3.5

「どう生きるか」

【映画】風立ちぬのレビュー、批評、評価

実在の航空技術者である堀越二郎をモデルとし、宮崎駿著の同名漫画作品を原作とする、2013年に公開されたアニメ映画。

飛行機に憧れている少年・堀越二郎は、夢に現れた飛行機の設計家・カプローニ伯爵に励まされ、自分も飛行機の設計家になることを志す。青年になった二郎は東京帝国大学で飛行機の設計学を学び、関東大震災が発生した際に乗車していた汽車の中で偶然出逢った少女・里見菜穂子と彼女の女中である絹を助ける。世間は世界恐慌による大不景気へと突入していた。東京帝国大学を卒業した二郎は飛行機開発会社「三菱」に就職する。

宮崎駿といったら、少年少女を主人公とした、少年少女が楽しめるアニメ映画を作る印象が強い。
宮崎駿自身も「アニメは子供が観るもの」と公言しており、アニメ制作においてのターゲットは常に子供としている。

だが、本作は宮崎駿らしからぬ、大人に向けたヒューマンドラマとなっている。
そのため、いつもの宮崎駿映画を期待した観客からしたら肩すかしを受ける。
私も、本作は、宮崎駿に求めるワクワク感のある展開が皆無だったので、少し残念だった。
とはいえ、一本のドラマ映画としては結構、楽しめる内容だった。

「どう生きるか」のテーマが素晴らしい。
主人公の堀越二郎にとって、飛行機はロマン溢れる乗り物。
だが、堀越二郎の創る飛行機は、戦争で使われてしまう。
だからこそ、葛藤が生まれる。
自分の生き方は正しいのか。

今の世の中、「どう生きるか」の問いに誠実に向き合って生きている人は少ないだろう。
世間一般的には可能性が低い夢を、全力で追い求めるエネルギッシュな人間は、ごく一部である。
でもそういう、夢を諦めた人であれば、本作は少なからず刺さるところはあるはず。
私自身、夢追い人で、夢のない人生に生きる価値はないと思っているので、本作は心を揺さぶられるものがあった。

あと、後に二郎の奥さんとなる里見菜穂子のキャラクターが良かった。
菜穂子は病気ではあるが、決して、二郎の邪魔にはならないように、彼をサポートする。
男にとって都合の良い女性の描き方ではあるため、揶揄する声もあるかもしれない。

だが、男は精神的な支えをしてくれる女性を理想とするもの。
とはいえ、二郎も仕事が忙しい中、合間を縫って、菜穂子に会いに行く。
菜穂子が二郎を応援したくなる気持ちも理解はできる。

本作のモチーフとなる「風」
本作にとっての風は、さわやかに吹くようなものではなく、原発が爆発したあとに轟々と木を揺らすような恐ろしい風。
その風が、二郎と菜穂子の二人を繋ぐのだから、粋な描き方をするものである。

あと、本作を観ていてダーレン・アロノフスキー監督の『レスラー』を思い出した。
かつてスターだった中年のプロレスラーが、試合後に心臓発作で倒れ、医師から引退を宣告され、自身の人生を見つめ直す物語。
「どう生きるか」。
後悔のない生き方をしたいものである。

相変わらず、映像は綺麗。
宮崎駿の角の取れた温もりを感じられる手書きのアニメーションは、いつ観ても素晴らしい。
最近の海外アニメーションの主流である3DCGアニメは、美しいけど、どこか直線的。

だが、世の中はもっと歪みに溢れている。
手書きアニメだからこそ、自然な歪みが再現できている気がして、観ているだけで心地良い。

「どう生きるか」をテーマとする作品はコチラ。

■レスラー

■ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア

■初恋

風立ちぬの作品情報

■監督:宮崎駿
■出演者:庵野秀明 瀧本美織 西島秀俊
■Wikipedia:風立ちぬ(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):88%
AUDIENCE SCORE(観客):85%

風立ちぬを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2021年4月現在

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。