■評価:★★★☆☆3.5
「再生」

【映画】そこのみにて光輝くのレビュー、批評、評価
『きみはいい子』の呉 美保監督による2014年公開のドラマ映画。
ある出来事がきっかけに仕事を辞め、目的もなく毎日を過ごしていた佐藤達夫。ある日、達夫はパチンコ屋で使い捨てライターをあげたことをきっかけに、粗暴だが人なつこい青年・大城拓児と知り合う。拓児に誘われるままについていくと、そこは取り残されたように存在している一軒のバラックだった。そこで達夫は拓児の姉・千夏と出会う。互いに心惹かれ、二人は距離を縮めていくが、千夏は家族を支えるため、達夫の想像以上に過酷な日常を生きていた。それでも、千夏への一途な愛を貫こうとする達夫。
地味な設定のヒューマンドラマだったが、かなり心を揺さぶられた。
主人公の達夫はパチンコをしたり、ぐーたらな生活を送る青年。
外でも下着のようなだらっとした服装を身に纏い、話し方もしまりがない。
退廃的な雰囲気をまき散らしている。
どうやらワケありらしいが、序盤ではその理由は明かされない。
こんな感じで、ちょっとしたミステリー要素に牽引され、ゆっくりと物語が進んでいく。
達夫が出会った拓児の家も飛散。
拓児の父は痴呆で寝たきり。
姉の千夏は体を売って金を稼ぎつつ、父の介護も行う。
体を売らなくても良いのに、って感じではある。
だが、前科者である拓児の仕事先の面倒を見る、という条件で千夏は、中島という経営者の愛人として金を稼いでる。
物語に出てくる全ての人間がクズだったり、飛散な境遇に生きている。
コロナ禍で観るには適さない暗い映画。
だが、そんな不幸な中でも少しずつささやかな幸せを掴んでいく。
詳細は明かさないが、達夫の過去も明かされ、少しずつ、変化が訪れる。
そのため、登場人物たちに感情移入していく。
人間の心を丁寧に描いた素晴らしいヒューマンドラマだった。
物語としてはかなり地味な内容なので好みは別れるだろうが、個人的には結構タイプ。
役者も素晴らしい。
個人的に好きだったのは、拓児を演じた菅田将暉。
前科者のバカだし、歯も汚いし、パチンコばっかりしているしょうもない男。
だが、家族想いで、明るく、どこか憎めないキャラクター。
この拓児を菅田将暉は見事に演じていた。
品のない声の出し方も良かった。
やかましく聞こえるんだけど、同時に温かさもある。
菅田将暉の演技力が絶妙で素晴らしい。
『きみはいい子』も相当素晴らしい映画だったが、本作も引けを取らない良作。
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■レスラー
■初恋
■ブラインド(韓国版)
そこのみにて光輝くの作品情報
■監督:呉美保
■出演者:綾野剛 池脇千鶴 菅田将暉 高橋和也
■Wikipedia:そこのみにて光輝く(ネタバレ)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):-
AUDIENCE SCORE(観客):62%
そこのみにて光輝くを見れる配信サイト
U-NEXT:○(見放題)
Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(見放題)、原作はコチラ
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2021年5月現在