■評価:★★★☆☆3.5
「記憶」

【映画】エターナル・サンシャインのレビュー、批評、評価
『ヒューマン・ネイチュア』のミシェル・ゴンドリーによる2005年公開の恋愛映画。
2004年度のアカデミー脚本賞を受賞。
もうすぐヴァレンタインという季節。平凡な男ジョエルは、恋人クレメンタイン(クレム)と喧嘩をしてしまう。何とか仲直りしようとプレゼントを買って彼女の働く本屋に行くが、クレムは彼を知らないかのように扱い、目の前でほかの男といちゃつく始末。ジョエルはひどいショックを受ける。やがて彼はクレムが記憶を消す手術を受けたことを知る。苦しんだ末、ジョエルもクレムの記憶を消し去る手術を受けることを決心。手術を受けながら、ジョエルはクレムとの思い出をさまよい、やがて無意識下で手術に抵抗し始める。
設定がすごく魅力的。
最愛の彼女に振られてしまい、腹いせで彼女の記憶を消すというシナリオ。
最近、『記憶屋』という原作小説を元にした実写映画があった。
そのため、記憶を消すという設定自体は、今では新しくないかもしれない。
だが、2005年当時は新鮮だったと思うし、私は『記憶屋』を観ていないので、フラットに本作を楽しめた。
設定は興味深いのだが、中身は分かりづらいストーリー。
主人公ジョエルが元恋人クレムとの記憶を消すために、記憶消去してくれるサービスを行う病院に出向く。
そこで、記憶を消去する。
施術中に彼女との記憶を消したくないあまりに、精神世界で抵抗する、という物語。
そのため、現実と妄想と過去が入り交じって展開される。
特に、妄想と過去の描写が分かりづらいので、どこまでが実際にあった話で、どれが妄想なのかがわかりづらい。
もう少し、観客にも分かりづらい演出で描いて欲しかった。
例えば過去なら、黄砂がかったようなノスタルジーな映像で見せるなど。
あと、個人的には、記憶を消去する過程ではなく、記憶を消去した後の物語のほうが観たかった。
記憶を消去したあとの主人公の成長を描いた物語のほうが、シンプルでエンタメとして分かりやすい物語になりそうである。
例えば、お互い、相手の記憶を忘れているのに、やっぱり惹かれ合い、再び同じようなデートを重ねたり。
その中で記憶が蘇ったり何なり、といったシナリオ。
とはいえ、本作は嫌いではなかった。
記憶を消すという設定もそうだが、どこか現実離れしたファンタジーな世界観がステキ。
そもそも主人公が恋した女性も、ぶっ飛んだ見た目をしているので、この世界観とマッチしていて良かった。
ストーリーは微妙だが、世界観に惹かれる部類の作品。
日本でいえば、岩井俊二を彷彿とさせる雰囲気があって素晴らしかった。
物語の着地は正直、微妙。
リアリティを無視した結末で、共感はできない。
ミシェル・ゴンドリー監督は有名だが、ほとんど鑑賞していないので、少しずつ観てレビュー記事をアップしていきたい。
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■聖なる鹿殺し
エターナル・サンシャインの作品情報
■監督:ミシェル・ゴンドリー
■出演者:ジム・キャリー ケイト・ウィンスレット
■Wikipedia:エターナル・サンシャイン
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):92%
AUDIENCE SCORE(観客):94%
エターナル・サンシャインを見れる配信サイト
U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:-
Netflix:○(見放題)
※2021年6月現在