映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

④難題に直面した平凡な奴

映画『羊の木』ネタバレなしの感想。6人の元受刑者が田舎町に移住してくる

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■評価:★★★☆☆3.5

「異物」

【映画】羊の木のレビュー、批評、評価

『パーマネント野ばら』『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』『美しい星』の吉田大八監督による2018年公開の作品。

過疎化の進む富山県魚深市で、地方都市に元受刑者を移住させるという国の極秘更生プロジェクトを行う。6人の元受刑者を順番に迎えに行く月末一は、彼らがどこか普通ではないことに気づく。彼らが元殺人犯であることを聞かされた月末は魚深で暮らす彼らを見守っていくが、周囲では徐々に彼らの過去が明かされていく。

雰囲気が絶妙だった。
本作はいわゆる日常系を様相を呈する。
富山県の田舎町に、人口を増やすという目的も兼ねて、元受刑者を移住させられる。
閉鎖的な田舎町に前科者が集まっているため、随所にスリリングな描写が描かれる。
例えば、住民と前科者がちょっと衝突を見せたり。
あるいは前科者がどこか不審な言動を取ったりなど。

だが、特に分かりやすいヒリヒリするような展開は皆無。
真面目な主人公と、シャバでの生活になじむのに苦労する前科者が淡々と描かれる。
そのため、分かりやすい日常系ではなく、『日常系を様相を呈する』と表現した。

本作で私がダメだと思ったポイントがテンポの悪さ。
作為的に淡々さを描いているせいか、やけにどの登場人物ののんびりとしていて集中力が削がれる。
何なら、物語の本筋とは思えない、どうでも良さげなシーンが多く描かれる。
例えば主人公のバンド演奏のシーンなど。
あまりに日常的なシーンすぎて、何のために描かれているのかが良く分からないまま観させられる。

あとは、一部の死刑囚の意味不明な行動もいくつか観られる。
とくに、市川実日子扮する栗本清美は最初から最後までずっと謎のキャラクターだった。
原作を読んだら、もっと意味を感じられたのかもしれないが、映画では、あまり必要なキャラクターに思えないので削除しても良かったのでは。

中盤以降、この淡々とした雰囲気の中で、いきなり物語が動き出す。
あまりの温度差で、一気に画面に食い入ることになる。

個人的には、もっと序盤から伏線などを張って欲しかった。
急に物語が動き出す流れも面白いけど、それまでがあまりにのんびりしすぎているので飽きてしまう。
もっとたくさん伏線を挿入して、不穏さを積み重ねてくれたほうが、もっと物語に入り込めた。

全体的には面白い映画だった。
都会に住む人間からしたら、こういった田舎が舞台の映画は雰囲気が良いので、個人的には好み。
田舎の緩い雰囲気をぶちこわすような、前科者が6人もやってくるという設定も良かった。
吉田大八監督作品は一定のクオリティが保たれているから、安心して鑑賞できるのも良い。

田舎を舞台にしたスリラー・サスペンスのおすすめ作品はコチラ。

■ビジランテ

■ビー・デビル

■ミスミソウ

■愛しのアイリーン

羊の木の作品情報

■監督:吉田大八
■出演者:錦戸亮 木村文乃 北村一輝 優香 市川実日子 水澤紳吾 田中泯 松田龍平
■Wikipedia:羊の木
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):-
AUDIENCE SCORE(観客):56%

羊の木を見れる配信サイト

U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)、原作はコチラ
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2021年6月現在

-④難題に直面した平凡な奴

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。