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②金の羊毛

映画『ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像』ネタバレなしの感想。年老いた美術商の男がオークションで署名のない絵に心を奪われる

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■評価:★★★☆☆3.5

「家族」

【h2】【映画】ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像のレビュー、批評、評価

年老いた美術商のオラヴィは、長年音信不通だった娘に頼まれ問題児の孫息子・オットーを職業体験のため数日預かることに。その矢先、オークションハウスである一枚の肖像画に目を奪われる。ひと目で価値ある作品だと確信したが、絵には署名がなく、作者不明のまま数日後のオークションに出品されるという。「あと一度だけでいい、幻の名画にかかわりたい」。オラヴィはオットーとともに作者を探し始めた。

題材が最高である。
絵画を題材としたミステリードラマで、全体を漂う雰囲気が大人っぽい。
また、フランス映画ということまって、ハリウッド映画のようなけたたましく喚くキャラクターもいない。
そのため、題材と相俟って、やたらと上品でお洒落な空気感が素晴らしい。

絵画という歴史のあるシリアスな題材ではあるが、お堅さがないのが良かった。
というのも、本作はミステリー要素が強いため。
作者不明の、恐らく名画であろう男の肖像を、頑張って手にしようと奮闘する流れと併せて、「作者は誰なのか」「なぜ作者不明なのか」といった謎解きが、物語を牽引する。

それと、お宝を見つけたようなワクワク感があるのがいい。
カードでいうならレアカードを見つけたような感覚である。
というのも、この男の肖像の絵画について、とある作者の候補が浮上する。
もし、この作者だった場合、価値は10万ユーロ以上(約1300万円)となる。

このように、大人っぽい題材にもかかわらず、とんでもない掘り出し物を見つけたような少年心をくすぐられる設定なのが個人的にはツボだった。
主人公は不遇な雰囲気の漂っている老人のため、観客は「ぜひ、名画であってくれ」と願い、応援しながら鑑賞することになる。

本作を描くテーマは家族。
絵画探しを通じて、主人公はあまり仲良くない娘の息子と交流をする。
正直、テーマは普遍的で、新しさはない。
そのため、クライマックス、二人の関係性がどうなるかは容易に想像できる。
だが、絵画という題材が個人的には新鮮さを感じられたので、楽しく鑑賞はできた。

本作はテーマを強く描いていたので、個人的にはもっと絵画の真相を追究するミステリー色を強めてくれたほうが良かったかなって思う。
というのも、私は絵画というものを全然詳しくない。
だから、オークションの仕組みとか、どういった手順で絵画の真贋などを追究するのか、といった情報はまったくの無知。
知的好奇心を埋めてくれる方向性で描いてくれたら、本作の満足度はもっと高かったと思う。
「なぜ、主人公はそこまで絵画に魅了されるのか」ということが納得できるくらいに、「思わず本作を見たら絵画のファンになる」くらいに絵画の面白いところを描いて欲しかった。

私も含め、上品な映画に心を掴まれる層はいるので、そういう人にはおすすめしたい。

親子をテーマとした物語の傑作はコチラ。

■シェフ 三ツ星フードトラック始めました

■インターステラー

■子宮に沈める

■娘は戦場で生まれた

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像の作品情報

■監督:クラウス・ハロ
■出演者:ヘイッキ・ノウシアイネン アモス・ブロテルス ピルヨ・ロンカ
■Wikipedia:ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像(英語)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):88%
AUDIENCE SCORE(観客):93%

ラスト・ディール 美術商と名前を失くした肖像を見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2021年7月現在

-②金の羊毛

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。