■評価:★★★☆☆3.5
「仲間の素晴らしさ」

【映画】サヨナラまでの30分のレビュー、批評、評価
メジャーデビューを目前に解散したバンド「ECHOLL」。1年後のある日、突然、大学生の颯太が現れ、 メンバーのヤマケン、重田、森の日常にずかずか踏み込み再結成を迫る。誰をも魅了する歌声を持ち、強引だがどこか憎めない颯太に、少しずつ心を動かされていくメンバーたち。実は颯太の中身は、1年前に死んだボーカルのアキだった!偶然拾ったアキのカセットテープを颯太が再生する30分だけ、2人は入れ替わる事ができ、1つの体を共有していく。人づきあいが苦手で、はじめはアキを毛嫌いしていた颯太。「俺にこじ開けられない扉はない」が口癖のポジティブなアキ。30分ごとの入れ替わりを何度も繰り返す、正反対の2人の共同生活がスタート。
本作は公開当時、ツイッターでの評判がやたら良かったので、期待して鑑賞した。
カセットテープを再生するたび、アキと颯太が入れ替われるという設定。
『君の名は。』を彷彿とさせるファンタジー設定で、正直、食傷気味ではある。
だが、意外と楽しめた。
ストーリー自体も普遍的ではある。
本作で素晴らしいと思ったのがキャラクター。
丁寧に描いているため、心を揺さぶられるものがあった。
主人公の一人・颯太は閉鎖的で、孤独を好む男。
対して、入れ替わる相手は、かつて事故で命を落とした、明るいボーカリストで、もう一人の主人公・アキ。
二人は入れ替わりながら同居をすることで、少しずつ、颯太が成長を遂げていく。
颯太が根暗すぎるので、個人的にはあまり好きにはなれないキャラクター。
そんな颯太を、アキの天真爛漫さでぐいぐいと引っ張る。
アキの勢いに流されるように、颯太は孤独だった頃には決してやらなかったこと(例えば動画共有サイトに自作曲をアップや、バンド活動など)を次々とチャレンジしていくのだ。
そのため、ついつい二人が幸せになれるように願いながら鑑賞した。
他に良かったのが、ロケーション。
颯太が一人になって音楽を作る場所が、廃プール施設である。
廃プール施設を舞台とする映画は初めて観たので、新鮮さを感じられて良かった。
廃プールは敷地が広く、開放感もある。
さらに、颯太は水が抜かれたプールの中でベンチに座って行うのだが、プールの内壁が鮮やかなブルーで、すごく映像的に美しい。
他にも、再結成したECHOLLのメンバーが集まる場所が、メンバーの一人が経営するバーだったり。
ロケーションの一つ一つが良い。
ついつい、「こんなところで物作りができたら」「こんな場所で仲間とワイワイやれたら」と妄想してしまった。
ロケーションについては、もしかしたら本作で一番好きな箇所かもしれない。
苦手だったのが、邦画で良く見掛ける、やたらスタイリッシュに見せる演出。
いちいち、みなさんカッコつけていらっしゃるのが、ダサくて寒気を覚える。
私はどっちかっていうと生々しく、泥臭い演出のが好みなので、演出だけは終始、合わなかった。
シンプルな青春映画だが、ラストは心を揺さぶられるし、割と楽しめた映画だった。
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サヨナラまでの30分の作品情報
■監督:萩原健太郎
■出演者:新田真剣佑 北村匠海 久保田紗友
■Wikipedia:サヨナラまでの30分
サヨナラまでの30分を見れる配信サイト
U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2021年7月現在