■評価:★★★☆☆3.5
「毒親を持った加害者の子供」

【映画】許された子どもたちのレビュー、批評、評価
『先生を流産させる会』『ライチ☆光クラブ』『ミスミソウ』の内藤瑛亮監督による2020年公開のドラマ映画。
市川 絆星(きら)をリーダー格とする中学一年生の不良少年グループは、日常的にいじめていた同級生の倉持 樹を殺害してしまう。絆星ら4人の少年は警察に犯行を自供するが、絆星の母・真理は息子を説得してアリバイを主張させた。家庭裁判所の審判員は少年たちに「不処分」の判決を下す。事件に対する世間の反感は大きく、贖罪の機会を失った市川親子は壮絶なバッシングと私刑を受けるが、それに伴って被害者家族に対する反省の余裕は失われていく。一方、樹の父・武彦と母・絵梨夏は、少年たちの責任を問うべく民事訴訟に踏み切る。
内藤監督らしさ全開でかなり好きな内容だった。
特に印象的だったのがキャラクター。
どうもこの監督の作品に出てくるキャラクターは誰もが不気味である。
本作でも、掴み所がなく、何を考えているのか容易に把握できない気味の悪いキャラクターが多く登場する。
加害者のみながらず、被害者の子供や家族すらも気持ち悪いのだから、面白い。
あとはテーマも良かった。
命を奪われた被害者ではなく、命を奪った加害者側を視点で、加害者ならではの苦しみを描いている。
今のご時世、そこまでの斬新さはないが、それでも加害者の少年に感情移入できるくらい、丁寧にキャラクターを作り込んで描いているところに好感が持てる。
もう1つのテーマが子供と大人の対立構造。
内藤監督にとって、永遠のテーマであろう。
『先生を流産させる会』や『ライチ☆光クラブ』にも通ずるテーマ。
本作を鑑賞することで、やはり子供にとって、大人は毒にもなりえるという事実を改めて実感させられる。
もっとまともで、もっと現実を教えられる大人が彼の周りにいたら、主人公のキラくん少しは変わっただろう。
だがキラ君の母親は、キラくんのどんな悪の所業でも、見てぬふりをしてすべてを許してしまう。
完全に毒親である。
そして、そんな母を愛してしまっているキラくんが可哀想で仕方ない。
そんな母と一緒に居る限り、キラくんはいつまで経っても成長ができない。
クライマックスも印象的だった。
思い描いていた結末とはまったく異なる方向だったのは良かった。
詳細はネタバレになるので伏せるが、結末自体、分かりやすくは描いていない。
観客に解釈の予知を与える結末ではあるが、何を描きたいかは明白である。
ぜひとも直接観て、確かめて欲しい。
そして、本作は子を持つ親、すべてに鑑賞してもらいたい。
毒親になることで、子供の人生を狂わせてしまう現実が描かれているから。
加害者の葛藤を描く作品はコチラ。
■聖なる鹿殺し
■“隠れビッチ”やってました。
許された子どもたちの作品情報
■監督:内藤瑛亮
■出演者:上村侑 黒岩よし 名倉雪乃
■Wikipedia:許された子どもたち
許された子どもたちを見れる配信サイト
U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2021年8月現在