■評価:★★★☆☆3.5
「親殺し」

【映画】スワロウのレビュー、批評、評価
食べ物以外の物体をのみ込み続ける「異食症」に悩まされる妊婦を描いた2021年公開のドラマ映画。
ニューヨーク。ブルーカラー(肉体労働者)の家で生まれ育ったハンターは、大企業の御曹司リッチーと結婚し玉の輿に乗った。最初のうちこそ、ハンターはハドソン川沿いの豪邸での優雅な暮らしを楽しんでいた。だが、リッチーから対等な個人として扱われることはなかった。抑圧の中で生きていたハンターだったが、ある日、ビー玉を食べたいという衝動に駆られ、勢い任せに呑み込んでしまった。呑み込んだ瞬間、ハンターは今までにないほどの充実感を味わった。その後、ハンターは画鋲やバッテリーのようなものまで食べるようになり、嚥下後の充実感にますますハマっていくのだった。
観るのがかなり痛々しい映画だった。
異食症を題材とした物語で、主人公の女性ハンターは結婚後のストレスのあまり、あらゆる非飲食物を呑み込み始める。
ビー玉とか乾電池くらいならまだ問題無い。
画鋲のような、鋭利なものを呑み込むシーンは、かなり痛々しくて観るに耐えかねる。
私を始めとする、共感性が強すぎる人にとっては、ホラー映画よりも鑑賞するのがキツい。
それと、今まで異食症なんて病気を知らなかったので、斬新な設定でワクワクさせられる。
そして、彼女にも強く感情移入してしまう。
なぜなら画鋲のような鋭利なものを呑み込まないとやっていけない精神状態に追い込まれているから。
私も自分の人生はハードモードな実感はあったが、彼女を見ると、彼女ほどではないと痛感させられる。
ただ、彼女の過去のトラウマはそこまで斬新さはない。
「親殺し」をテーマとしており、彼女は、過去の親に関するトラウマから、異食症を発症している。
詳細は伏せるので、直接、確かめてほしい。
そのため、ストーリー自体はかなり平凡。
彼女の苦悩に共感はできるのだが、異食症のようなストレスやトラウマ起因をコンセプトとする物語に対して描かれるテーマとしては、普通すぎる。
もう少し、コンセプトに対して、テーマに斬新さがあったら、より本作に価値が高くなっていた。
ただ良い箇所も多い。
作品、全体を覆う上品さは素晴らしい。
リッチーが金持ちなだけあって、自然溢れる、郊外での豪邸の世界観が心地良かった。
ガクト辺りが住んでいそうな雰囲気である。
しかし、彼女の夫のリッチーも絶妙にクズ男である。
一見、良い夫のように思える。
だが、異食症を発症した彼女の行動を抑圧して、家に閉じ込めたり。
あるいは、彼女の異食症という悩みを他人にべらべら話したりと、酷い男である。
まったくもって、彼女の立場になり、彼女の意志や考えを察することのできないレベルの低い男。
この男があまりにしょうもないので、どんどん彼女に感情移入が捗る。
また、主演の女優さんは美しいなって思う。
ヘイリー・ベネットという女優さんなのだが、アメリカ人の割に、彫りがそこまで深くない。
そのため、日本人受けする顔のように思える。
演技力も素晴らしかったので、ファンになりそう。
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スワロウの作品情報
■監督:カーロ・ミラベラ=デイヴィス
■出演者:ヘイリー・ベネット
オースティン・ストウェル
エリザベス・マーヴェル
デヴィッド・ラッシュ
■Wikipedia:スワロウ(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):87%
AUDIENCE SCORE(観客):71%
スワロウを見れる配信サイト
U-NEXT:○(有料)
Hulu:○(有料)
Amazonプライムビデオ:○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2021年9月現在