映画の海

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④難題に直面した平凡な奴

映画『ビバリウム』ネタバレなしの感想。脱出不可能な奇妙な住宅街で見知らぬ子供を育てさせられる夫婦を描く

投稿日:

■評価:★★★☆☆3

「大量消費社会」

【映画】ビバリウムのレビュー、批評、評価

アイルランド・デンマーク・ベルギー合作の2021年公開のスリラー映画。

ジェマとトムが家を購入するために不動産屋を訪れていた。店主のマーティンは2人に最近開発されたばかりの宅地、ヨンダーにある家を購入するよう勧めた。マーティンの案内でヨンダーの9番地にやって来た2人だったが、その不気味さにゾッとさせられた。ヨンダーには住人が1人もおらず、そこにある住宅も全て同じ設計のものだったのである。帰ろうとした2人だったが、マーティンは車を残したまま忽然と姿を消してしまった。やむなく、2人は自力でヨンダーから帰ろうとするも、どうやっても9番地に戻ってきてしまうのだった。翌日、謎の箱が出現する。その箱の中には赤ん坊が入っており、「この子を大人になるまで育て上げたとき、貴方たちは自由の身となります」というメモ書きが付されていた。

設定が異様で素晴らしい。
色や形、何もかもが同じ住宅が無数に存在する住宅街に閉じ込められるという設定。
しかもそこで、見知らぬ不気味な子供を育てさせられるという、生理的に気持ち悪い展開。
あまりに冒頭が素晴らしく、食い入るように鑑賞してしまった。

だが、中盤から終盤にかけての展開はかなり微妙だった。
前半は、外に出られないループする奇妙な町に閉じ込められ、脱出を試みつつ、子供を育てるミッションを淡々とこなす。
このように一応、現実的な世界観のフィクションラインで主人公たちの生活の様子が描かれる。

だが、終盤以降は急にフィクションラインがぐぐっと上がり、意味のわからない非現実的な展開が怒涛の如く訪れる。
あまりにぶっとび過ぎていて、私は入り込めなかった。
終わり方も何だか面白味にかけた。

ただ、子供は良かった。
子供は異様な速度で成長し、あっという間に成人男性になる。
とても不気味である。
横分けで、妙に清潔感のある見た目や服装なので、気味が悪くて仕方ない。
しかも子供はストレスが溜まると奇声を発する。
この奇声が、動物が危機の時に発するような耳障りの悪い声。
最高すぎる。
しかも、主人公等のモノマネをしたりして、挑発したりするのも腹が立つ。
極めつけは、謎のテレビを鑑賞しているところ。
見ているだけで目が回りそうな奇妙な映像を延々と見ているのだ。
子供の造形がこの世界観にマッチしていて素晴らしかった。

だからこそ、もっと中盤以降に、いろいろやって欲しかった。
例えば、ストレスのあまり、子供の命を奪ったりするなど。
もっと無茶苦茶なことをして、この世界観のルールを探って欲しかった。

あと、中盤に出てくる本。
あれは一体なんだったんだろうか。
ワクワクさせられる割に、本の謎を深掘りしてくれないのは、物足りない。
もっと本を解明する流れにシフトして欲しかった。

大量消費社会というテーマを描くことに意識が向きすぎて、脚本の面白さに追求に欠ける印象。

設定・世界観が異様に魅力的な作品のおすすめはコチラ。

■プラットフォーム

■メイドインアビス

■今際の国のアリス

■バード・ボックス

ビバリウムの作品情報

■監督:ロルカン・フィネガン
■出演者:イモージェン・プーツ
ジェシー・アイゼンバーグ
ジョナサン・アリス
ダニエル・ライアン
■Wikipedia:ビバリウム
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):72%
AUDIENCE SCORE(観客):39%

ビバリウムを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)○(字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2021年9月現在

-④難題に直面した平凡な奴

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名前:柴田
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小説家志望。
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長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。