■評価:★★★☆☆3
「ピアノの素晴らしさ」

【映画】海の上のピアニストのレビュー、批評、評価
『ニュー・シネマ・パラダイス』『マレーナ』のジュゼッペ・トルナトーレ監督による1999年公開のドラマ映画。
第二次世界大戦の終戦直後、マックス・トゥーニーは愛用のトランペットを金に換えるために楽器屋を訪れた。彼はトランペットを売った後になって、店主にもう一度だけトランペットを吹かせて欲しいと頼む。彼の演奏を聴いた店主は、同じ曲がピアノで刻まれたレコードを持ち出し、曲と演奏者の名前を尋ねた。すると彼は、「1900 (ナインティーン・ハンドレッド)」と呼ばれた男の物語を語り始める。大西洋を往復する豪華客船ヴァージニアン号。その上で産み捨てられた赤ん坊を拾った黒人機関師のダニー・ブートマンは、その子に自分の名前、捨て置かれていた箱の名前、生まれた西暦などから「ダニー・ブードマン・T.D.(Thanks Danny)レモン・1900」と名付けて大切に育てる。しかし、ダニーは1900が8歳の時に事故で帰らぬ人となった。1900はダニーの葬儀で流れた音楽に惹かれ、ピアノを弾き始める。
生涯船を降りることのなかったピアニストの物語で、映画好きにはファンが印象。
そのため、TOHOシネマズでは、午前10時の映画祭か何かの枠で、リバイバルで上映している時もある。
私はジュゼッペ・トルナトーレ監督の『マレーナ』がかなり好きである。
色っぽい人妻に惚れる思春期の少年を描いた、ユニークな視点のドラマ映画。
マレーナに夢中で、マレーナが生きがいとなる少年が面白くて、DVDまで購入したほど。
第二次世界大戦下のノスタルジックな港町の雰囲気も良い素晴らしい作品。
そのため、本作はかなり期待して鑑賞した。
分かりやすいドラマを描いた物語と思いきや、不思議な映画だった。
序盤~中盤は正直、かなり退屈な物語だった。
船で生まれ、なぜか船から下りられない主人公1900がピアノに目覚める。
1900のピアノの演奏は素晴らしい。
外の世界を知らない、良い意味でピュアな1900が奏でるメロディがとても魅力的。
そんな不思議なキャラクターである1900を演じたティム・ロスの演技力が凄まじい。
掴み所がなく純粋で、音楽を愛する1900を見事に演じきった。
ティム・ロスのあどけない表情が1900のキャラクターと絶妙にマッチしている。
だが、本作は途中までかなり微妙。
理由は明白で、なぜ、1900が船の中で住むことに拘り、外の世界に出られないのか分からない。
ずっと、1900の目的が分からないので、物語としてのエンジンに乏しく、集中力が途切れまくった。
一体、1900は何をしたくて、何の目的で船に佇み続けるのか。
終盤になってようやく明かされる。
何だか深く、感情移入してしまった。
確かに、1900の言いたいことは分かる。
私も同じようなことに苦悩をしたことがある。
自分は一体、何をすべきなのか。何のために生まれてきたのか。
個人的には中盤に差しかかるくらいで、1900の内面を明かしても良かったと思う。
その内面の葛藤をもっと見せて欲しかった。
そのせいで、物語に抑揚が生まれず、盛り上がりにかける結果となっている。
あと1900という名前も不思議な良かった。
非生物的な名前が、彼のキャラクターとマッチしている。
ピアニストを題材とした作品のおすすめコチラ。
■蜜蜂と遠雷
■ラ・ラ・ランド
海の上のピアニストの作品情報
■監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
■出演者:ティム・ロス
プルイット・テイラー・ヴィンス
メラニー・ティエリー
ビル・ナン
クラレンス・ウィリアムズ3世
ピーター・ヴォーン
■Wikipedia:海の上のピアニスト(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):54%
AUDIENCE SCORE(観客):91%
海の上のピアニストを見れる配信サイト
U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(吹替・有料)、○(字幕・有料)、○(イタリア完全版 字幕・有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2021年9月現在