■評価:★★★☆☆3.5
「戦時中のアメリカの罪」

【映画】ジェイコブス・ラダーのレビュー、批評、評価
『フラッシュダンス』『ナインハーフ』『危険な情事』のエイドリアン・ライン監督による、1991年公開のサイコスリラー映画。
1971年、ベトナム戦争中のベトナム。ジェイコブ・シンガーは仲間の兵士たちとくつろいでいたが、突如の白煙噴霧と同時に敵兵の接近を告げられる。銃撃戦により仲間は次々と死亡、ジャングルに飛び込んだジェイコブも何者かに腹部を刺される。だが次の瞬間、ジェイコブはニューヨークを走る地下鉄の車内で目を覚ます。恋人のジェジーと同棲し、ごく普通の郵便局員として生活するジェイコブだが、彼の周囲に奇妙な出来事が起こり出す。徐々に現実への違和感を覚えるジェイコブ。ある日、ベトナムでの戦友ポールが現れ、ベトナムからの帰還以来、誰かに追われていると語る。ジェイコブは「1971年のあの日に何かが起こり、軍は何かを隠している」と弁護士のギャリーに相談を持ちかけるが…。
あらすじが異様に魅力的。
主人公のジェイコブは戦地で敵襲を受けたと思った瞬間に、なぜか平和なニューヨークの町で目を覚ます。
まるで、戦争に参加していたのが夢のようである。
夢か幻か。いったいどれが現実なのか。
強烈なミステリー要素に牽引され、冒頭から食い入るように鑑賞した。
しかし、物語が先に進むにつれて退屈さに襲われた。
ジェイコブはベトナム戦争の帰還兵という認識を持っている。
だが、精神が少し病んでいるのか、頻繁に幻覚のようなものを見る。
まず、この幻覚があんまりおもしろくない。
例えば目のない男が現れたり、急に顔を振り回す人間がいたりなど。
この幻覚の意味が良くわからない。
確かに怖いけど、直接的に命を奪ってくるわけでもないし。一体なんだろうか。
もっと魅力的な幻覚を見せてくれたら、興味深く鑑賞できた。
例えばホットな女性に誘われて、ついていったら、実はビルの屋上で危うく飛び降りそうになったなど。
あと、どのシーンが現実で、どのシーンが過去、あるいは妄想なのかの区別もつかないのが混乱させられる。
主に3種類の生活が描かれる。
一つはベトナム戦争の戦場。
一つは妻と子供と暮らす生活。
最後は若い女と同棲している生活。
すべて現実なのか、あるいはどれかが妄想なのか。
私はこの手の良く、現実と妄想の境が区別しづらい物語はどうも苦手である。
ただ、迎えたクライマックスは興味深い。
ネタバレになるので伏せるが、この結末で描かれることは本当にあった話なのか、それともフィクションなのか。
今もなお、真相は不明らしい。
興味深い内容ではあるが、もう少し、エンタメに振り切って分かりやすく作ってほしかった。
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■パーフェクトブルー
ジェイコブス・ラダーの作品情報
■監督:エイドリアン・ライン
■出演者:ティム・ロビンス
エリザベス・ペーニャ
ダニー・アイエロ
ヴィング・レイムス
■Wikipedia:ジェイコブス・ラダー
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):73%
AUDIENCE SCORE(観客):84%
ジェイコブス・ラダーを見れる配信サイト
U-NEXT:○(見放題)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:-
※2021年10月現在