映画の海

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⑤人生の節目

映画『おもひでぽろぽろ』ネタバレなしの感想。27歳のOLが長期休暇で田舎に行き、子供時代を思い返す

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■評価:★★★☆☆3.5

「精神的自立」

【映画】おもひでぽろぽろのレビュー、批評、評価

岡本螢原作、刀根夕子作画の漫画を原作とする1991年公開のジブリによるアニメ映画。
監督は『火垂るの墓』『平成狸合戦ぽんぽこ』『かぐや姫の物語』の高畑勲。

1982年の夏。27歳になるOL岡島タエ子は、勤務先で休暇を取得。姉の夫の親類宅に2度目の滞在をさせてもらうことになった。東京育ちのタエ子は、小さな頃から田舎のある生活に憧れていたのだ。タエ子は、山形へ向かう寝台特急あけぼの3号の車中で、田舎がないことで寂しい思いをした小学5年生の自分を思い出す。その後、滞在先の家の息子・トシオや農家の人々と交流するうちに次々とその当時の思い出がよみがえっていく。淡い初恋の記憶、分数の割り算、パイナップルの味、たった一度だけお父さんに殴られたこと、少しの間だけ同級生だった「あべくん」との苦い記憶。

生々しい人間描写。
都会っ子の27歳のタエ子が田舎に遊びにいき、蘇った小学生の頃の自分を振り返ることで、現在の自分が成長するという物語。
物語構成といい、なかなかの離れ業を見せつけられた気分。

もともと、宮崎駿曰く「アニメ化するには難解な原作で、高畑勲しか監督できない」といったことで、高畑勲が企画を受け取った経緯があるそう。
確かに、この成長の描き方は、豊富な人生経験であったり、アニメ監督としての技量など、多くの能力を問われる作品のように思える。

本作の肝となる主人公・タエ子が小学生だった頃の昭和時代の回想シーン。
時代を感じさせられる箇所が逐一、見られて良かった。

例えば、時代錯誤でしかない、亭主関白全開の父の挙動。
(良い意味で)見ていて本当に気分が悪かった。
家族みんなで1つのテーブルを囲い、わいわいとご飯を食べている。
父もその中に参加しているのだが、一人でぶすっとした顔で新聞を読んでいる。
読み終わり、新聞をテーブルにのせたら、「飯」と一言、言い放って、母に飯を準備させる。
「自分でやれよ」と思わずツッコみたくなる。
今の時代で、芸能人の誰かが家でこんな態度を取っていることを公表したら、SNSで総叩きを食らいそう。

父の叱り方も嫌だった。
例えば、タエ子が、エナメルのバッグを姉から貸してもらえず、お出かけ直前になって「私、行かない!」と泣いてダダをこねるシーン。
みんながタエ子を置いて玄関から出たとき、タエ子は寂しさから、みんなを追いかけるのだ。
靴を履かずに外に出てきたタエ子に対して、父はビンタをする。
最低、極まりない。

あとは、タエ子が舞台にスカウトされたときに「演技なんてダメだ。芸能界なんてダメだ」と、タエ子のやりたいことを我慢をさせたりなど。
本当にタエ子の父は嫌な人間だなあと思い、タエ子に対しての感情移入が捗った。

嫌いなものを食べさせられる学校教育も、懐かしさを感じた。
タエ子の学校は残していいものは1つまで、といったルールがある。
そのため、隣の席の男子と、お互いの嫌いなものを交換しあって逃れる。

嫌いなものを無理矢理食べさせるのは、いかがなものかと思う。
だが、厳しいルールによって、クラスメイトとの交流につながっているのだから、ありなのかもしれない、と思った。

本作は全体的にキャラクターの描き方が丁寧。
タエ子は、家でも嫌いなものを残す。
タエ子はタマネギが嫌いで、焼きそばから小皿に避けていた。
すると、母がタエ子が残したタマネギを捨てようとする。
それを見て、タエ子が「待って、捨てないで!」と懇願するシーンは印象的。

きっと、タエ子は罪悪感を覚えたんだろう。
タマネギは農家の人が作り、父の給料のお金で買い、母が調理をしている。
それを捨てるという罪に脳が反応したんだろう。
こんな感情の機微を描くなんて、驚嘆である。

全体的には地味な映画。
だが、回想シーンのおぼろげな映像は美しいし、キャラクターの描き方も細かい。
素晴らしい映画である。

子供時代の自分と、大人になった今の自分を比べることで成長を遂げる主人公の物語のおすすめ作品はコチラ。

■プーと大人になった僕

■空の青さを知る人よ

おもひでぽろぽろの作品情報

■監督:高畑勲
■出演者:今井美樹
本名陽子
山下容莉枝
三野輪有紀
■Wikipedia:おもひでぽろぽろ(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):100%
AUDIENCE SCORE(観客):82%

おもひでぽろぽろを見れる配信サイト

U-NEXT:-
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)、原作はコチラ
TSUTAYA TV:-
Netflix:-
※2021年10月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。