映画の海

約1100本の映画を鑑賞した小説家志望の男が、ネタバレなしで映画のレビューや解説を書いてます。(直近で観たものに限る。たまにアニメ・ドラマ・小説も)面白いおすすめ映画を探している人向けのブログ。

⑤人生の節目

映画『BLUE/ブルー』ネタバレなしの感想。負け続きのプロボクサーを描く

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■評価:★★★★☆4

「負けた者への賛辞」抜粋へ

【映画】BLUE/ブルーのレビュー、批評、評価

『純喫茶磯辺』『さんかく』『ヒメアノ~ル』『愛しのアイリーン』『犬猿』『空白』の吉田恵輔監督による2021年公開のドラマ作品。

誰よりもボクシングを愛する瓜田は、どれだけ努力しても負け続き。一方、ライバルで後輩の小川は、抜群の才能とセンスで日本チャンピオン目前、瓜田の幼馴染の千佳とも結婚を控えていた。瓜田にとって、千佳は初恋の人であり、この世界へ導いてくれた人。強さも、恋も、瓜田が欲しい物は全部、小川が手に入れた。それでも瓜田はひたむきに努力し夢へ挑戦し続ける。しかし、ある出来事をきっかけに、瓜田は抱え続けてきた想いを二人の前で吐き出し、彼らの関係が変わり始めるー。

松山ケンイチは、凄すぎではないだろうか?
本作の主人公はなかなか試合に勝てないプロボクサー、瓜田。
昼間はダイエット目的の主婦にボクシングを教え、夜は自身のトレーニングをしている。
言うまでもなく、目標はチャンピオンである。

とにかく優しくて、人生で怒ったこととウソを吐いたことはないんじゃないかってくらいのTHE善人。
そんな瓜田を松山ケンイチが演じているのだが、絶妙すぎる。
ずっと松山ケンイチに扮する瓜田を見ていたい。
常に画面に瓜田が出ていてもらいたい。
そのくらい瓜田を演じた松山ケンイチが素晴らしすぎる。

そもそも、吉田恵輔監督の撮る映画は、役者陣の演技がいきいきとしている。
柄本時生もそう。
柄本時生扮する楢崎はバイト先の女の子に好かれるため、ボクシングしている風を目指すために、瓜田がいるジムに入会した。
入った初日、瓜田からは、「じゃあまずは縄跳びからやろうか」と提案される。
だが、楢崎は「ミット打ちがしたい。僕はボクシングを本気でやる気はない。あくまで、ボクシングやってる風を覚えたいんです」と、縄跳びを拒否する。
(結果的に、瓜田は優しいので、ミット打ちをさせてくれる)
かといって、ジムに入ってしばらく経ち、瓜田らに「スパーリングするか」と提案される。
だが、「絶対に痛いからやらないです」と拒否する。
こんな感じで、そんな邪な欲望を持つ、わがままな楢崎を柄本時生が良い感じにイラっとさせる演技を見せてくれる。

他にも木村文乃だったり、東出昌大など。
すべてのキャラクターに魂が宿っているのだから、恐ろしい。
こうも役者たちから魅力的な演技を引き出してくるのだから、吉田恵輔は本当に素晴らしい監督なんだと思う。

あと、テーマも良い。
本作は実らなかった努力を称える、といった一風変わった切り口のテーマを持って制作されている。

普通だったら、キャラクターの努力が実った様を目の当たりにし、観客のテンションが上がって、「俺も明日から頑張ろう!」って気にさせてくれるのがエンタメである。
本作は勝負の世界の理想ではなく、現実を描く。
瓜田は弱い。
本当に可哀想なくらい弱い。
残酷な映画である。

だが、負け=絶望ではない。
もし努力が実らなかったとしても、その人の人生に努力の痕は刻まれ、後の人生に何かしらの形で生かされる。
実らなかった努力は、決して無駄ではない。
残酷なテーマを暗い絶望的な感じではなく、ユーモラスに明るく、描いている。

正直、本作は地味である。
分かりやすいエンタメではないので、物語としての起伏はそこまで激しくはない。
でも、キャラクターは魅力的だし、コメディ描写も多いし、語るテーマに深みがあるので、私は大好きである。

敗者を主人公としたおすすめ作品はコチラ。

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■レスラー

BLUE/ブルーの作品情報

■監督:吉田恵輔
■出演者:松山ケンイチ
木村文乃
柄本時生
東出昌大
■Wikipedia:BLUE/ブルー

BLUE/ブルーを見れる配信サイト

U-NEXT:○(有料)
Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(有料)
TSUTAYA TV:○(有料)
Netflix:○(見放題)
※2021年12月現在

-⑤人生の節目

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名前:柴田
年齢:30代
小説家志望。
趣味は映画、読書、ゲーム(最近はスプラトゥーン2)、お笑い、筋トレなど。
長所は人を楽しませることに一生懸命、短所は顔が丸い。