映画『THE FIRST SLAM DUNK』ネタバレなしの感想。バスケットボールのインターハイにて王者との試合に挑むメンバーを描く

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■評価:★★★★☆4

「バスケットボールの面白さ、競争の面白さ」

【映画】THE FIRST SLAM DUNKのレビュー、批評、評価

『SLAM DUNK』『バガボンド』『リアル』の漫画家、井上雄彦が監督を務めた2022年12月3日公開のスポーツアニメ映画。

【あらすじ】インターハイにて、山王工業高校との試合に臨む湘北高校バスケットボール部。メンバーそれぞれが積み重ねてきた成果、背負っている過去、さまざまな思いが、コート上で激しくぶつかり合う。

劇場公開当時、スラムダンク好きや映画好き界隈を飛び越え、スラムダンク未読者にすらブームが広がる社会現象となっていた。
だが、個人的に観るタイミングを完全に逃してしまった。
いつも、配信やレンタルの映画は出勤中の電車の中で毎日20分ずつ細切れで鑑賞しているが、本作はゆっくりできる時に一気に観たかったため、遅れに遅れてしまった。

ストーリーはバスケットボールのインターハイ出場を決めた神奈川県代表の湘北高校は、2回戦で三連覇を成し遂げている王者、山王工業と対戦する。

本作は、山王工業の試合が進展していく中で、主人公の宮城を中心としたキャラの回想が描かれる。

後、『インターハイ』はスポーツの総合競技大会である全国高等学校総合体育大会(Inter highschool championships)の略語とのこと。

1993年から放送されていたTV版のアニメは、まだ原作が完結していなかったのも相まり、原作の途中の段階で放送がしゅうりょしている。
そのため、本作は初めて原作屈指のエピソードとなる山王戦がアニメとして描かれる。

私は中年おじさんなので、リアルタイムでアニメ放送を鑑賞していた。
漫画版は大人になってから読んだため、当時の熱狂を知るスラムダンクファンの温度感には乗れない。
スラムダンクの漫画が少年ジャンプに連載されていた当時、週刊少年ジャンプの発行部数、歴代最高部数653万部を達成した号で巻頭オールカラーを飾っている。
つまり、当時の週刊少年ジャンプを異常人気を牽引した看板作品なのだ。

とはいえ、繰り返し拝読しているスラムダンクの面白さは熟知しているし、私もファンである。

映画に話を戻すが、とにかくリアリティーが凄かった。
2Dと、3Dが交互に切り替わる滑らかなアニメーション。
キャラクターの些細な言動に、声優の抑えた演技。
細部に渡って作り込まれており、映像を観ているだけで心地よい。
さすがは原作者の井上雄彦が監督、脚本を努めているだけである。
三十年の時を経て、成熟した井上雄彦によるセルフ・リメイクされたスラムダンクを観ているようで、何だか嬉しくて笑ってしまった。

新しく追加されたシナリオは普通だった。
原作では主人公は桜木花道だが、本作は宮城リョータに変更されている。
沖縄で暮らす小学生の宮城リョータは、父に続いてバスケの上手く、仲の良かった兄を船の事故で失くす。
神奈川に引っ越すことになり、仲間との対立がありながら、失った兄への想いを断ち切るシナリオ。
先日、読んだ小説『あしたの官僚』でも同じ展開があったのだが、田舎の地元に帰って成長・変化する流れは使い古されているのでやめてほしい。
まさか本作でも古典的で退屈なストーリーには驚かされた。
確かにすでに完成されたスラムダンクに、奇をてらったシナリオの追記は違和感を覚えるだろう。
だが、いくらなんでも凡庸なので引っかかってしまった。

とはいえ、キャラも完成された山王戦のシナリオも素晴らしいアニメーションで再現されているので満足度は高い。
宮城もいいけど、やっぱり花道の圧倒的主人公感が最高だった。

流川のスカした感じもいいし、ミッチーがスリーポイントをバシバシ決めるのもカッコ良い。
ゴリの『俺はお前らのことが嫌いだ』的なセリフが結構好き。

また競争の面白さが描かれているところも良い。
競争って殺伐とするので、平和な現代はどこか敬遠されている気がする。
小学校のを運動会でも順位付けが禁止されているところもあるとか。

だが、男の私からすると競争は楽しい。
全力でぶつかり、相手を出し抜けたら最高に気持ち良い。
全力だからこそ、負けたらめちゃくちゃ悔しい。だからこそ、新しい自分への変化に繋がる。

好きところがたんまりある最高の映画だった。
個人的にには原作通り、桜木花道が主人公で描いて欲しかった。
でも大人になった井上雄彦は、少年マンガ的ではない、大人にも響く落ち着いた物語を描きたかったのかなと思った。

人の成長に胸が熱くなるおすすめ作品はこちら。

■あくたの死に際

THE FIRST SLAM DUNKの作品情報

■監督:井上雄彦
■声の出演者:仲村宗悟
笠間淳
神尾晋一郎
木村昴
三宅健太
■Wikipedia:THE FIRST SLAM DUNK(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):100%
AUDIENCE SCORE(観客):98%

THE FIRST SLAM DUNKを見れる配信サイト

Hulu:-
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)、旧アニメ版はコチラ、原作はコチラ
Netflix:-
※2024年7月現在

この記事書いた人
柴田

子供の頃は大の活字嫌い。18歳で初めて自分で購入した小説『バトルロワイアル』に初期衝動を食らう。実写映画版も30回くらい観て、映画と小説に開花する。スリラー、SF、ホラー、青春、コメディ、ゾンビ、ノンフィクション辺りが好き。休みの日は映画、読書を楽しみつつ、エンタメ小説を書いています。腹括って執筆しているので、応募した新人賞に落ちると絶望してます。

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