TVドラマ『ブラッシュアップライフ』ネタバレなしの感想。平凡な女性が人生をゼロからやり直す

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■評価:★★★★☆4

「地元の仲間って最高」

【TVドラマ】ブラッシュアップライフのレビュー、批評、評価

『住住』『架空OL日記』『殺意の道程』『地獄の花園』のお笑い芸人バカリズムによる脚本で2023年1月8日 ~ 3月12日の間に放送されたTVドラマ。

【あらすじ】交通事故で死亡した女性は死後の世界に送られるが、生前の人生を最初からやり直すチャンスをつかみ取る。来世のために徳を積むべく、彼女の2周目の人生が幕を開ける。(Netflix引用)

本作は『ゴッドタン』『あちこちオードリー』『トークサバイバー』等の演出、佐久間さんを始め、多くの人から称賛をされていた。
全10話の長いテレビドラマ作品なので、なかなか観るタイミングがなく、ようやくまとまった時間が取れ、鑑賞することが出来た。
個人的にコンプラでがんじがらめのテレビドラマは退屈だろうと思い込んで避けていたので、久しぶりの鑑賞となった。

主人公は埼玉県の北熊谷出身在住、33歳の平凡な市役所職員の女性で、通称あーちん。
ある日、親友のなっちとみーぽんとご飯を食べ、カラオケの帰りのコンビニの前の道路で交通事故に遭い、命を落とす。
目を覚ますと謎の白い空間にいた。
仕方なく歩を進めていると、『案内所』の看板の下にマッシュルームカットの男(バカリズム)がいる。
あーちんは、彼に次の生まれ変わりの生命である『グアテマラ南東部のオオアリクイ』の提案をを蹴り、人間に生まれ変わるため、もう一度、人生をやり直す決意にする。

本作の鑑賞が先延びした理由の一つに、今までの映画やドラマで散々擦られたタイムリープ設定が挙げられる。
『バタフライエフェクト』とか、既に名作は多く存在する。
今更見せられても過去の名作のシナリオを辿るだけなのでは?
といった鮮度の薄さから、どうも手が伸びずにいた。

結論から書くが、本作はとてつもなく面白かった。

まず笑いの描写が最高。
レストランやカラオケで、メインキャラの女子3人のガールズトークを普通に十分くらい見せてくる。
しかも会話がどれも最高。
フリ→ボケ→ツッコミを漫才やコント的なわざとらしさはなく、あくまで日常会話の流れで自然に盛り込んで来る。
さすがはバカリズム。
3人の俳優陣の演技があまりにナチュラルでのびのびとやっているので、画面の中に入り込んでライブで聴きたくなる。

劇中内で呼び合うあだ名は俳優名から取られている。
主人公の近藤麻美(こんどう あさみ)はあーちんと呼ばれ、演じる安藤サクラの苗字の頭文字も『あ』から始まる。
夏帆が扮する門倉夏希(かどくら なつき)はなっちと呼ばれ、俳優名の漢字も『夏』から始まる。
米川美穂(よねかわ みほ)はみーぽんと呼ばれ、木南晴夏(きなみはるか)の苗字の尻が『み』。

恐らく、本物の親友的な距離の近さのリアリティを出したいために、俳優名にも関連するあだ名を設定したのだろう。
試みは見事に的中しており、3人の親近感の生々しさはなかなかのもの。
最高のコンビネーションで最終話までたっぷり三人のコメディエンヌ演技を堪能させてもらった。

意表をつくシナリオも良かった。
正直、よくあるタイムリープものなので、あまりストーリーは期待していなかった。
だが、主人公が周回を重ねるごとにまるで異なる職業についていくのが面白い。
最初は市役所。次は薬剤師、といった具合に。
取材も行っているらしく、それぞれの職業ならではの小ネタも随所に放り込む。
凄いのが、その小ネタや過去の仕事の行動もういい感じに伏線となっており、うまい具合に回収していくのは気持ち良い。
最終章に向けての展開はまるで想像しなかった展開を見せてくれて先が気になって仕方なくなる。

正直ツッコミどころは多い。
過去を変えられる系のタイムリープものは、ルールが曖昧だとツッコミどころ満載になる。
本作も序盤はまだしも、中盤に出てくるマリリンのキャラクターが登場してから、設定に引っかかる箇所が増えてくる。
ただ、テレビドラマだし、許容は出来るレベル。
ガチガチのハードSFだったら設定の甘さ、曖昧さに冷めそうだけど、本作は特にコメディーなので受け入れられた。

私はテレビドラマを勘違いしていた。
てっきり、ハードなシーンを見せ放題の配信ドラマの方が見応えがあり、面白いと信じ込んできた。
本作を観て感じたのは、刺激の強さと面白いは別物。
テレビというガチガチの制限がある中であっても、工夫次第でいくらでも作品を面白くできる可能性を、バカリズム及び制作スタッフが証明してくれた。
制限がるからこそ、アイディアを練る必要に迫られる。
大変だろうけど、安直な刺激に頼らず、面白く見せることに集中できるのかもしれない。

ドラマの内容だけでなく、色んな意味で気づきがあった良い鑑賞体験になった。

ユニークなセリフの応酬が楽しいおすすめ作品はこちら。

■ゴーストバスターズ/アフターライフ

ブラッシュアップライフの作品情報

■脚本:バカリズム
■出演者: 安藤サクラ
夏帆
木南晴夏
松坂桃李
染谷将太
黒木華
仲村トオル
臼田あさ美
塚地武雅
三浦透子
市川由衣
野呂佳代
鈴木浩介
山田真歩
野間口徹
江口のりこ
神保悟志
志田未来
中島ひろ子
田中直樹
水川あさみ
浅野忠信
バカリズム
■Wikipedia:ブラッシュアップライフ(ネタバレあり)

ブラッシュアップライフを見れる配信サイト

Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(Blu-ray)
Netflix:○(見放題)
※2024年7月現在

この記事書いた人
柴田

子供の頃は大の活字嫌い。18歳で初めて自分で購入した小説『バトルロワイアル』に初期衝動を食らう。実写映画版も30回くらい観て、映画と小説に開花する。スリラー、SF、ホラー、青春、コメディ、ゾンビ、ノンフィクション辺りが好き。休みの日は映画、読書を楽しみつつ、エンタメ小説を書いています。腹括って執筆しているので、応募した新人賞に落ちると絶望してます。

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