小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』ネタバレなしの感想。真っ白い奇妙な部屋で1人目を覚ました記憶喪失の男を描く

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■評価:★★★★★5
■読みやすさ:★★★☆☆3

「宇宙は広くて面白い、たった1人信頼できる仲間がいれば救われる」

【小説】プロジェクト・ヘイル・メアリーのレビュー、批評、評価

映画『オデッセイ』の原作小説の『火星の人』の著者、アンディ・ウィアーによる2021年12月16日刊行のSF小説。

【あらすじ】未知の物質によって太陽に異常が発生、地球が氷河期に突入しつつある世界。謎を解くべく宇宙へ飛び立った男は、ただ一人人類を救うミッションに挑む! 『火星の人』で火星でのサバイバルを描いたウィアーが、地球滅亡の危機を描く極限のエンターテインメント(Google Books引用)

本作は私が尊敬する多くの著名人がこぞって絶賛していた。
アニメ、漫画、映画などの評論に定評がある知識人、岡田斗司夫さんはYouTubeで。

バラエティ番組『ゴッドタン』『あちこちオードリー』、Netflixで配信されているコメディドラマ『トークサバイバー』の演出、佐久間宣行さんも『出版区』というYouTubeチャンネルに出演した際に言及している。

また『メタルギアシリーズ』『デス・ストランディング』のゲームクリエイターで、小説と映画を愛する小島秀夫監督も本作の帯を書いている。
佐久間宣行さんと同じ出版区のYouTubeに出演した際にも言及していた気がするので、一応リンクを貼っておく。

私は友人などの身近な人やYouTuberなど、2人以上が勧める小説や映画などの作品は摂取するように心がけている。
1人だけだと、その人の感性にハマっただけで、私に刺さる可能性はそれほど高くない。
だが2人以上だと、より大衆に受け入れられる作品だと推測できる。

だが、上記の岡田斗司夫さん、佐久間宣行さん、小島秀夫さんの三人は知識、創造力など、あらゆる面で私は強く尊敬しており、彼らがおすすめしたものは積極的に手に取っている。
結果的に当たりの確率は高いし、もしあまり面白くなくても、勧めた理由について深掘る価値があると思っている。
その三人がこぞって本作を勧めていたので、私の中では約束された傑作だった。
大きな期待を持ってページを捲った。

余談だが、2ちゃんねる創始者で論破王のひろゆきも個人的に好きで、彼も本作をおすすめしていた。
切り抜き動画だが、URLを貼り付けておく。

もはや冒頭から凄まじく面白い。
主人公は記憶喪失。
目を覚ますと、ベッドに寝かされてる。
体中の穴には管が通されている。
お尻の穴にまで及んでいるのは身震いする。
体の動きがだいぶ鈍いので、相当長い間眠っていたと推測される。
上空からは主人公を監視するロボットアームが質問してくる。
回答するまでひたすら質問を繰り返す。
主人公は自分の職業はもちろん、名前すらもすっからかん。
しかも重力も、地上とは異なる感じ。

こんな感じで、冒頭から矢継ぎ早に無数の情報を浴びせてくる。
読者はわずかな情報を頼りに主人公の置かれた状況を推理を楽しむ。
時間が進むにつれて、主人公は記憶を少しづつ思い出していく。
答え合わせが楽しいし、あまりに冒頭から状況がぶっ飛んでいるので、先の展開が知りたすぎて怒涛の勢いで読み進めさせられる。

本作はSF強度の強烈なハードSFだが、かなり読みやすい部類だった。
宇宙船や化学の専門用語、またフィクションである本作ならではの造語も頻出する。
正直、理系に疎い私はイメージしながら読むのが大変な箇所も多々あった。(文系も大した自信はないが)
しかし、本作は登場人物が少ない。
主人公の一人称視点なので、地の文が心の声による口語調が多いので、かなり読みやすい作りになってる。
恐らく作者が、より万人受けするように意識して執筆したのではないだろうか。

そのため、ハードSFに抵抗があるSF初心者には特におすすめしたい。
内容も素晴らしいので、導入としては最適な本だと思われる。

また、思わず声を上げたくなるようなドンデン返しも3回、仕掛けられている。
本作は上下巻と長い物語ではあるが、上巻の真ん中あたりで、意表を付くとんでも展開が訪れる。
お陰で先がより知りたくなる構造になっているので、長さはまるで感じさせない。
恐らく、読み終わった多くの人は、もっと本作の世界観に浸っていたかったと思うのではないだろうか。

岡田斗司夫やひろゆきが言うように、本作は主人公の記憶が失われているため、これ以上、書くとすべてネタバレになる。
そのため、あなたが本作に関心を持ったなら、すぐに手に取ることをおすすめする。
最初の1ページから最後の1ページまでずっと面白い傑作。

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プロジェクト・ヘイル・メアリーの作品情報

■著者:アンディ・ウィアー
■Wikipedia:プロジェクト・ヘイル・メアリー
■Amazon:こちら

この記事書いた人
柴田

子供の頃は大の活字嫌い。18歳で初めて自分で購入した小説『バトルロワイアル』に初期衝動を食らう。実写映画版も30回くらい観て、映画と小説に開花する。スリラー、SF、ホラー、青春、コメディ、ゾンビ、ノンフィクション辺りが好き。休みの日は映画、読書を楽しみつつ、エンタメ小説を書いています。腹括って執筆しているので、応募した新人賞に落ちると絶望してます。

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