映画『ディパーテッド』ネタバレなしの感想。潜入捜査官と警察に侵入する反社の男を描く

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■評価:★★★★☆4

「信頼することの難しさ」

【映画】ディパーテッドのレビュー、批評、評価

『タクシードライバー』『レイジング・ブル』『キング・オブ・コメディ』『グッドフェローズ』『カジノ』『ギャング・オブ・ニューヨーク』『アビエイター』『シャッター アイランド』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『沈黙 -サイレンス-』のマーティン・スコセッシ監督による2007年1月20日公開のサスペンス・ドラマ映画。
2007年のアカデミー賞の作品賞受賞。

【あらすじ】治安の悪いボストン南部で血縁に犯罪者の多い環境で育った男は、優秀な警官となってマフィアの潜入捜査を命じられる。一方、地域のマフィアに育てられ、同じ警察学校で学んだ男は、警察内部の情報を組織に流し続ける。

リメイク元の原作となる2002年に公開された香港映画『インファナル・アフェア』は当時、日本でも話題となった。
特に主人公の背後で人間が落下し、クッションとなった車を大破されるシーンはテレビのCMで何度も流れ、当作を象徴している。

当時の私は映画ファンになりたてであり、ほぼリアルタイムで原作映画を鑑賞している。
(劇場鑑賞はしていないが、DVDが販売された直後に鑑賞した)
登場人物が多く、理解が難しかった印象はあるが、鑑賞後感は良く、タイミングがあればまだ未鑑賞の後半2作を含めた全3部作をすべてチェックしたいと思っていた。

またリメイクされた本作はアカデミー賞の作品賞を取っているが、既に鑑賞済の作品のリメイクということもあって、長らく敬遠していた。
(観ても鮮度を感じられないと思ったため)
ようやく機会を得られて2024年現在、手に取るに至った。

役者陣が最高だった。
元の不良の警官で、警察が目の敵としている反社会勢力に潜入審査官としてワルになりきるビリー扮するレオナルド・ディカプリオ。
幼い頃から反社会勢力と繋がりがあり、反社会勢力のボスのコステロの命令によって警察官になるコリン扮するマット・デイモン。
悪の帝王であるコステロを演じるジャック・ニコルソン。

3人の配役が絶妙にハマっていて、ずっと観ていられる。
個人的にはジャック・ニコルソンを久しぶりに観られたのが嬉しかった。
ジャック・ニコルソンは映画『バットマン』で初代ジョーカー、他にも『シャイニング』『恋愛小説家』『アバウト・シュミット』など、多くの名作で名演技を披露している。
だが、俳優への情熱はなくなったとの理由で、2024年時点では引退状態にある。
恐らくはもう映画の世界に戻ることはない。
現在87歳という高齢でもあり、過去にはアカデミー賞の男優賞も3回受賞している。
充分に成果を挙げた俳優という職業に対し、やり残したことはないのだろう。
余生をゆっくり過ごしてほしいもの。
私もジャックニコルソンのように、やりたいことを全力でやり尽くして、何もかもをやめて、今までの我慢してきたゲームをしたり、読書を楽んだりして余生を楽しめる老後を過ごしたいもの。

映画に話を戻すが、リアリティーのある演出に画面にのめり込んで鑑賞した。
特に瞬サツ劇が良かった。
この手の反社会勢力が出てくる等の命を取り合う題材の作品は、いざ戦闘になると、ダラダラと会話をしたりして、間延びさせるシーンを見せられる事が多い。
特に漫画作品が多いイメージ。

長丁場のバトルにリアリティーは皆無。
本当に緊迫した場面って会話する暇なく、相手の頭や心臓をどう捉えるのか、しか考えていないはず。
命を落としたくないし、そのためにも相手を出し抜く必要があるから。

北野武作品は、ダラダラ演出が皆無の瞬サツ劇を基本としていて、物凄く好き。
『BROTHER』とか『アウトレイジ』など、本当に戦闘シーンが短い。
漫画でいえば『HUNTER×HUNTER』。
戦闘が長引く例外の戦いもあるが、基本的には短い。

瞬サツ劇は、臨場感と緊迫感がすごい。
次のシーンには誰かが命を落とすかもしれないヒリヒリ感が観客からしたらたまらないのだ。
他の特徴といえば、今までたっぷりと時間を割いて描いてきた重要キャラが一瞬で命を落とす。

作者が良い意味でキャラに愛着を持っていないのだろう。

個人的には瞬サツ劇は、クリエイターとしてやるべきだと思っている。
モノ作りにおいて、破壊と創造は対になっているので。
破壊がないと新しい創造はできない。
キャラが消えたら、また新しいキャラを創造する必要がある。 
逆をいえば、破壊がないと新たな創造の機会が失われる。

間延びして、なかなか進展しない漫画作品を良く見かけるが、破壊の決断は容赦なく行ってもらいたい。

本作に話を戻すが、原作が評価されているのでシナリオやキャラも安心して観ていられる。
その上、監督、役者、その他スタッフが上手く噛み合ったからこそ、リメイクされた本作は傑作になったのだろう。
2時間半の長尺を感じさせない最高の映画だった。
もっと早く鑑賞するべきだった。

「嘘」が面白いおすすめ作品はコチラ。

■ブラッシュアップライフ

ディパーテッドの作品情報

■監督:マーティン・スコセッシ
■出演者:レオナルド・ディカプリオ
マット・デイモン
ジャック・ニコルソン
マーク・ウォールバーグ
マーティン・シーン
レイ・ウィンストン
ヴェラ・ファーミガ
アレック・ボールドウィン
■Wikipedia:ディパーテッド(ネタバレあり)
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):91%
AUDIENCE SCORE(観客):94%

ディパーテッドを見れる配信サイト

Hulu:○(見放題)
Amazonプライムビデオ:○(吹替・見放題)○(字幕・見放題)○(Blu-ray)、原作映画はコチラ
Netflix:○(見放題)
※2024年8月現在

この記事書いた人
柴田

子供の頃は大の活字嫌い。18歳で初めて自分で購入した小説『バトルロワイアル』に初期衝動を食らう。実写映画版も30回くらい観て、映画と小説に開花する。スリラー、SF、ホラー、青春、コメディ、ゾンビ、ノンフィクション辺りが好き。休みの日は映画、読書を楽しみつつ、エンタメ小説を書いています。腹括って執筆しているので、応募した新人賞に落ちると絶望してます。

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