配信ドラマ『地面師たち』ネタバレなしの感想。不動産をめぐる詐欺を行う集団を描く

未分類

■評価:★★★★☆4

「詐欺は仕事ではなく犯罪」

【配信ドラマ】地面師たちのレビュー、批評、評価

『モテキ』『まほろ駅前番外地』『エルピス-希望、あるいは災い-』実写映画版『バクマン。』の大根仁監督による2024年7月25日にNetflix
で制作、配信された社会派コメディスリラー。
2017年6月1日に発生した積水ハウスが地面師グループに土地の購入代金として55億5千万円を騙し取られた積水ハウス地面師詐欺事件をモチーフとする。

【あらすじ】100億円の市場価値を持つ希少な土地に目をつけた地面師詐欺集団は、あらゆる手段を使って前代未聞の巨額詐欺を成功させようとするが…。(Netflix引用)

本作が配信されてすぐ、映画レビューYouTuberらがこぞって本作を大絶賛する動画を配信していた。
Netflixの回し者なんか、ってくらいにみんながみんな、称賛の声を挙げ、目にするYouTubeのサムネイル画像たちは「イチオシ」とか「神ドラマ」的な惹句で溢れていた。

今回、私は原作小説の大ファンで、Netflixドラマとして実写化され、配信された『自由研究には向かない殺人』の鑑賞目的のため、一時的に入会していた。
そのため、ついで感覚の軽い気持ちで本作の鑑賞に至った。
開始十分くらいで、あまりの面白さに数日で全7話を一気観させられた。
『自由研究には向かない殺人』も悪くない内容だが、実際に起きたダイナミックなスケール感の事件をモチーフとしたリアリティーには到底及ばなかった。

多くの映画レビューYouTuberが指摘していたクセ強なキャラたちの魅力が爆発している。
主人公の一人で、豊川悦司扮する極悪人のハリソン山中。
見た目が日本人なのに、何でハリソンなんだよ、って心の中でツッコミつつ、ミステリアスなキャラがたまらない。
休日は熊など狩猟に明け暮れる彼は、ワインやウイスキーなどのアンティークな酒を集めるのも好き。
風貌や喋りからも落ち着いた紳士然としているハリソンは、夜をともにする高級なお店でハードな遊びを好み、時には女性の命を奪ってしまうこともある気狂い野郎。
地面師グループのリーダーでもあるハリソンは、ひとたび仕事を終え、自分のグループから離脱する仲間には必ず、ペナルティを与える。
(罰の与え方については直接観て確かめてほしい)
ハリソンの名前だけあって、フィジカルとか、プリミティブとか、ルー大柴的なちょいちょい口癖として吐かれる英単語が絶妙にダサくて親しみやすさすらある。

最も好きだったのが、本作のメイン・ミッションで、ハリソンらが狙う百億の土地の所有者である頭をツルツルにした女性の僧侶、いわゆる尼さん。
地面師たちからは陰で「アマちゃん」と呼ばれ、人付き合いを嫌う彼女は、日中、お寺に籠もって掃除をしたり、お教を呼んだりしている。
だが、彼女は毎週木曜日の夜にはヅラを被ってとある場所に遊び行く隠れた趣味を持つ。
これも詳細は伏せるが、遊びの最中にヅラが脱げる演出はめちゃくちゃ良かった。
個人的には妙な興奮を覚えた。

他にもお金といけないおクスリが大好きな北村一輝扮する竹下とか、嘘くささ満載のエセ関西弁がよく似合うピエール瀧扮する後藤も良い。
別に悪いやつではないんだが、アマちゃんの物件を売りつける相手、山本耕史扮する石洋ハウスの本部長、青柳のいけ好かないキャラクターも最高。

他にもほぼ全員がキャラ立ちしていて、凄まじい脚本力や演出力を感じた。
原作が小説で、私はまだ未読だが、キャラの基本設定を構築した小説家の力も大部分を占めるのだろう。

シナリオも良かった。
クセの強いキャラたちで物語が紡がれているので、まあ、みんな意表をつく行動を起こしまくる。
突然、まるで予想できない窮地に襲われたかと思ったら、機転を活かしたアイディアで突破して……を全7話でずっと行われる、
そのせいで先が、気になって寝る間も惜しんで鑑賞に耽ってしまう。
もしあなたが鑑賞するなら、7時間確保できる休日に1話を観ることをおすすめする。

音楽が最高だった。
あんまり映画レビューYouTuberなどが指摘していないと思うのだが、ピエール瀧の音楽ユニット、電気グルーヴの石野卓球が担当する音楽は、本作の欲望塗れの禍々しい世界観を際立たせていた。
中毒性の高い曲が多くて、サントラがあるならぜひとも欲しくなる。

割と強めな性的な接触シーンやバイオレンスシーンがあるので、耐性がある人、全員にぜひとも鑑賞してもらいたい。
実際に起きた事件をモチーフとしているので、社会派ドラマとしても楽しめる。

結果、最高のドラマ体験だった。
続編小説も存在するので、シーズン2が制作されたら100%観るだろう。
個人的に続編には関心がないが、また彼らに会いたいって思わせる魅力がある傑作。

実際に発生した事件をモチーフとしたおすすめ作品はコチラ。

■ゴリラ裁判の日

地面師たちの作品情報

■監督:大根仁
■出演者:綾野剛
豊川悦司
ピエール瀧
小池栄子
北村一輝
アントニー(マテンロウ)
染谷将太
リリー・フランキー
池田エライザ
山本耕史
松岡依都美
■Wikipedia:地面師たち
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):-
AUDIENCE SCORE(観客):71%

地面師たちを見れる配信サイト

Hulu:-
Amazonプライムビデオ:-、原作はコチラ
Netflix:○(見放題)
※2024年8月現在

この記事書いた人
柴田

子供の頃は大の活字嫌い。18歳で初めて自分で購入した小説『バトルロワイアル』に初期衝動を食らう。実写映画版も30回くらい観て、映画と小説に開花する。スリラー、SF、ホラー、青春、コメディ、ゾンビ、ノンフィクション辺りが好き。休みの日は映画、読書を楽しみつつ、エンタメ小説を書いています。腹括って執筆しているので、応募した新人賞に落ちると絶望してます。

【オールタイムベスト】映画
■宮本から君へ
■君の名は。
■ヒメアノ~ル
■ターミネーター2
■インターステラー
■百万円と苦虫女
■レオン
■少林サッカー
■バトル・ロワイアル
■風の谷のナウシカ

【オールタイムベスト】小説
■プロジェクト・ヘイル・メアリー
■三体
■永遠の0
■ガダラの豚
■容疑者Xの献身
■煙か土か食い物
■クリムゾンの迷宮
■玩具修理者(酔歩する男)
■バトル・ロワイアル

【オールタイムベスト】ノンフィクション本
■母という呪縛 娘という牢獄
■墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便

【オールタイムベスト】漫画
■チェンソーマン
■HUNTER×HUNTER
■女の園の星
■惡の華
■狂四郎2030
■バクマン。

柴田をフォローする
未分類
柴田をフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました