■評価:★★★☆☆3
「都市伝説は実在した」
【映画】シルクロード.com 史上最大の闇サイトのレビュー、批評、評価
2013年に摘発を受けた闇サイト「シルクロード」の事件を題材とする2022年1月21日公開のドラマ映画。
【あらすじ】天才的な頭脳に恵まれたロス・ウルブリヒトは、自由な世界を求め、表では絶対に買えない違法物を匿名で売買できる闇サイト「シルクロード」を立ち上げる。瞬く間に熱狂的な支持者を集めたシルクロードは、警察にもマークされるが、ロスは絶対に身元がバレない強固なシステムを築いていた。一方、はぐれ者の捜査官リック・ボーデンは、問題行動を起こして麻薬捜査課からサイバー犯罪課へ異動させられていた。アナログ人間のリックはサイバー犯罪課では足手まといな存在だったが、周囲も驚く独自の捜査方法でロスとの接触に成功し……。(映画.com引用)
Amazonのように合法ではないクスリなどが容易に売買される闇サイトがある。
このようなザ・都市伝説的なバカげた噂は、都市伝説好きからすると一度は、耳にしたことがあるだろう。
だが、存在するとは思えない。
もし作ったとしても簡単に警察にバレて逮捕されそうだから。
海外にサーバーを設置したとしても、危険なものを扱う以上、やはり国際指名手配とかされそう。
恐ろしいことに、現実に存在した。
シルクロードという名前の不正販売闇市のディープウェブは、FBIによってサイト製作者が逮捕される2013年10月まで、我々一般人でもアクセスできる状態にあった。
ディープウェブとは、Googleやヤフーのような検索エンジンで検索してもヒットせず、通常とは異なる方法でのみアクセス可能なサイトを示す。
興味深い事件だと思う。
何故かって、世の中には荒唐無稽のヘンテコな都市伝説は多く存在する。
代表例を挙げるならば、アメリカのケネディ大統領が命を奪われた理由は、実はアメリカは宇宙人とコンタクトしており、この事実を公表を試みたためCIAに消された、など。
シルクロードも同じ括りの都市伝説だと思うが、本当にあったのだ。
火のないところに煙は立たない、の言葉通り、バカげた噂も、本当は真実、あるいは一部は真実のものも存在するのかもしれないことを証明している。
映画に話を戻す。
本作はシルクロード事件の題材とした実話ベースの社会派ドラマ映画となる。
実際に起きた事件なだけあって興味深く鑑賞できた。
頭が切れる主人公の若者は、熱中できることがなく、日々を無為に消耗していた。
ある日、友人との他愛のない会話から、シルクロード制作のアイディアが生まれ、実行に至った。
頭が良いなと思ったのが、『Amazonのように手軽にやばいもの買えるサイト』というコンセプトである。
我々は日常的にAmazonを利用している。
もはや我々は生活に欠かせないAmazonの奴隷だ。
我々の生活に根付いているものからアイディアを練り、コンセプトとして打ち立てているので、利用する側からしたら非常に試しやすい。
全く未知の新しいサービスって、使用感がイメージできないので、人間の心理としてなかなか勇気を絞って踏み込めない。
Amazon的なサービスなら、容易にサイトにアクセスくらいはしようと思える。
後、扱っているものがクスリをメインとする危ない代物なので、公に宣伝することはできない。
そこでマスに認知を広げるため、ジャーナリストに記事にさせる、というアイディアも面白かった。
シルクロードという名前も良い。
誰もが知っている歴史的に重要な交易路であり、サービスのコンセプトとも一致する。
流行るべくして流行った存在だなと、思った。
それだけに、主人公の溢れる知性を持て余していたのなら、社会的に意義のあるベクトルに発揮してほしかった。
危ないクスリを散りばめたって、社会の発展に繋がらない。
本人に金は手に入るかもしれない。
私も金は好きだけど、金だけ得て社会に不利益を与えて、自分だけが良い想いをするって心から幸せと言えるのだろうか。
(根っからの悪人は満足できるのだろうが)
せっかくなら、世界がひっくり返るような革新的なサービスを打ち出してほしい。
本作をそこまで評価していなきのは、もう一人の主人公の存在が良く分からなかった。
サイト制作者を追いかける機械に無知な中年警官なのだが、なぜ、彼のような属性のキャラクターが、対立軸として立てられたのかが意味不明だった。
意味ありげに描いてはいるんだが、私にはあまり伝わって来なかった。
恐らくこの警官はフィクションの存在なのだが、もう少し脚本を練って、価値ある対立相手なりを設定してほしかった。
実際に起きた事件の作品に関心がある人には勧めたい。
実際の事件を元にしたおすすめ作品はコチラ。
■地面師たち
シルクロード.com 史上最大の闇サイトの作品情報
■監督:ティラー・ラッセル
■出演者:ジェイソン・クラーク
ニック・ロビンソン
■Wikipedia:シルクロード.com 史上最大の闇サイト
■映画批評サイト「rotten tomatoes」によるスコア
TOMATOMETER(批評家):52%
AUDIENCE SCORE(観客):39%
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