小説『変な家』ネタバレなしの感想。知人から貰った不可解な間取りの謎を解き明かす

ホラー

■評価:★★★☆☆3
■読みやすさ:★★★★☆4.5

「間取りの面白さ」

【小説】変な家のレビュー、批評、評価

YouTuberの雨穴による2021年7月20日刊行の不動産ミステリー小説。

【B】【あらすじ】ある日、覆面ホラー作家の雨穴は知人の柳岡から「この家に不可解なところがある」と、都内のある中古一軒家の間取り図を貰う。そして雨穴は知り合いの建築士・栗原とその間取り図に秘められた謎を解き明かす。物語が進むにつれて、次々と恐ろしい真実が明かされていく。(wikipedia引用)

雨穴という名のYouTuberが同名タイトルの動画を配信したところ、爆発的に再生数を稼いだ。
2024年1月31(日)現在で1648万回。

URLは下記となる。

雨穴さん本人が動画の内容及び、続きを小説形式で書籍化したものが本作となる。

本を開くと、2階建ての一軒家の間取りがページいっぱいに映される。
次のページにはこういった内容が記される。

『一見、ありふれた民家だが、あなたにはこの家の異常さがわかるだろうか』

正直、パット見はまるで分からない。
何となく違和感を覚える箇所はある。
一階ではなく、2階に浴室かあったり。
謎に2階の子供部屋が廊下に囲まれるようなレイアウトになっていたりなど。

とはいえ、ちょっと普通の家とは異なる程度だなあ、といった感想。

本作はフェイクドキュメンタリー形式(ドキュメンタリー風に描いているフィクション)であり、視点人物がオカルトフリーライターの著者、雨穴本人。
ある日、雨穴の元に一軒家の購入を検討する知人の柳岡から、『相談がある』のこの間取りを持ち込まれる。

雨穴は設計士でオカルトやミステリーの愛好家である栗原に、相談したところ、思わぬ考察が飛び出てくる。

まるで想定していなかったイカれた考察内容が真実か否か。
ついつい真相を知りたくなり、ページをめくるスピードが加速する。

肝心の考察内容は本作の目玉になるので伏せておくが、かなりぶっ飛んでいる。
あまりに現実離れな内容なので、面白くもありつつ、「考えすきだろ」と、突っ込みを入れたくなる内容。

物語が更に進み、この家と深い関わりのあるとある人物との接触に成功。
思わぬ事実が判明していく。

感想の結論から言うと、実際の内容もかなりぶっ飛んでいる。
あまりにやりすぎているので、警察は動かなかったのだろうか、などと突っ込み入れたくなる。
あまりに現代日本ではありえないことが行われている。

後、文体がかなり軽く、読み応えは薄い。
というのもストーリーはすべて回想となっており、会話メインで進んていく。
小説の肝となる地の文がほとんど存在していない。
(セリフ以外の、風景や心情などの一連の描写群)
小説を読んでいる感は皆無。
前回、記事にした『リカ』もかなり軽い文体のライト文芸だったが、本作はさらにその上をいく軽さ。

そのため、評価は低めの★3にした。
小説を読み慣れている人からすると物足りなさを覚えると思う。

小説を読み慣れていない人には向いているかもしれない。
ミステリー要素が強いので先の展開も気になる。
さらには児童小説くらいに、随所に間取りが差し込まれるので、わかりやすい。
あまりに間取りが頻出しているのでページ稼ぎしているようにも思える。

間取りベースで展開するホラーの描き方に新しさはあるので、読んで良かったとは思う。
雨穴さん本人も、本が苦手な人向けに執筆しており、画像で説明できることは画像を載せたり、文学的な表現避けたりしたことを明かしている。

あと、間取り好きは読んでも良いと思う。
世の中には意外と間取り好きって多く存在しているので、彼らに刺さる意識で書いた印象もある。

2024年3月15日に実写映画化されたが、ホラー寄りに作られており、原作ファンからは評価は低め。
確かに、原作はコメディミステリー的な空気感なので、ホラーだと作品のカラーはだいぶ異なる。

独創的な設定・構成が面白いおすすめ作品はコチラ。

■近畿地方のある場所について

■異常 (アノマリー)

変な家の作品情報

■著者:雨穴
■Wikipedia:変な家
■Amazon:こちら

この記事書いた人
柴田

子供の頃は大の活字嫌い。18歳で初めて自分で購入した小説『バトルロワイアル』に初期衝動を食らう。実写映画版も30回くらい観て、映画と小説に開花する。スリラー、SF、ホラー、青春、コメディ、ゾンビ、ノンフィクション辺りが好き。小説の添削でボコボコに批判されて凹みがち。

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